外見(ロゴ・内装・キャッチコピー)を整える前に、本質(価値の中身)を考え抜くこと。それが僕にとって、ビジネスにおける一番の出発点です。
ビジネスを始めるとき、僕が一番最初に考えておきたいと思っているのは、「自分は何を売っているのか?」という問いです。これは、単に商品名やスペックではなく、“構造”としての価値の流れをどう捉えるか、という話です。
たとえば僕は、スターバックスはコーヒーを売っているのではなく、「第三の居場所(サードプレイス)」という空間体験や、そこに集う時間、あるいは自分自身のライフスタイル感を提供していると思っています。だからこそ400円という価格に納得感がある。
逆に、コンビニの100円コーヒーは「手軽さ」や「スピード」といった価値を売っているわけで、同じ“コーヒー”でも本質的にはまったく異なるものを提供している。
こういう風に、ビジネスって「見えてる商品」を売っているようでいて、実は「目に見えない価値」──感情や体験や背景──を売っているんじゃないかと僕は考えています。
この視点を持たないままに走り出すと、僕の経験上、どこかで必ずズレが起きる。たとえば、自分がどのポジションに立っているのか、何によって選ばれているのかが見えなくなり、行動や判断が一貫しなくなる。
特に僕が危ないなと思うのは、「他人の価値(ブランド)」を借りて商売をしているのに、「自分が売ってやっている」と勘違いするパターン。僕も過去そういう態度になりかけたことがあるから、よくわかるんですけど、それってすごく危険な考え方なんですよね。
逆に、自分があくまで“中間者”であり、ファンとブランドの橋渡し役でしかないと理解している人は、長く信用される。なぜなら「構造を理解しているから」だと僕は思います。
だから僕は、どんなに面倒でも、「自分が何を売っているのか」を何度でも問い直した方がいいと思うし、これができているかどうかでビジネスの“寿命”が決まるとも思っています。