最初から金を取るな──価値提供より先に手を出すな

ビジネスをやっていると、よく営業電話がかかってくる。決まってこうだ。

「御社に最適なサービスをご提案できます!」 「結果が出ます、今なら特別価格で!」

そしてその次の瞬間には、もう「月額〇万円です」と金の話になる。まだこちらは何も受け取っていないし、成果もない。にもかかわらず、だ。

これが、どうにも納得いかない。

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金を要求する前にやることがあるだろう

信用も信頼もまだない段階で、「お金ください」というのは順序が違う。本来ビジネスとは、まずGive=価値提供があり、それによってTrust=信頼が生まれ、初めてTake=対価が許される構造であるべきだ。

順番を守っていないビジネスは、信用に値しない。売り手の「生活のため」「稼がなきゃいけないんで」なんていう事情は、買い手には関係ない。こちらから見ればただの“金取ることしか考えてない奴”にしか映らない。

なぜそういうビジネスが蔓延してるのか?

それは、「考えなくても稼げる仕組み」を作りたい人間が多いからだ。努力も実績も要らず、マニュアル通りに金を取る流れだけをなぞる営業マンたちが世の中にあふれている。

でもそれじゃあ、何の信用も生まれない。 むしろ「この人たち、相手の立場で考えるという最も基本的なことができないんだな」と感じさせてしまう。つまり、自分たちで自分の価値を下げている

「社会のため」と言いつつ、対価が先に来る不自然さ

これは営業電話に限らない。最近では、「社会貢献」や「公共の安全」などの立派な理念を掲げる活動やプロジェクトにおいても、同じような違和感を抱く場面がある。

掲げている理念は美しい。けれども、スタートラインから「同志を募る」と称して高額な参加費や会費を課すような構造を見ると、思わず首をかしげてしまう。

もし本当に社会を良くしたいのなら、まずは自らがリスクを取って実績を作り、共感を得て、そこから支援が生まれる流れが自然だと思う。ところが現実は、理念を掲げた瞬間に「だから支援してくれ」と来る。

もちろん活動資金は必要だ。でも、信頼も何もない状態で金銭を求めるのは、やはり筋が通っていないと感じる。こうしたケースに出会うたびに、「価値とは、先に“発揮するもの”であって、先に“請求するもの”ではない」という当たり前を再確認させられる。

君が本当に価値ある人間なら、まず価値を見せてくれ

これはビジネスだけの話じゃない。 世の中には、「自分に価値がある」と思い込んで、まだ何も与えていないのに見返りを求める人間が多すぎる。

でもそれは、価値の本質を理解していない証拠だ。

本当に価値がある人間は、自信を持って「まずはこれを試してください」と差し出せる。最初から金を求めない。それは、自分の出すものに確信があるからだ。

本質に立ち返れ

「金が先じゃない。価値が先だ。」

この当たり前のようで見落とされがちな筋を守ることが、結果として信頼を生み、長期的な関係を築き、ビジネスの成功にもつながる。

もしあなたが営業をする側なら、まずは“何を与えられるか”を考えよう。

もしあなたがサービスを選ぶ側なら、“何をもらえるか”を見極めよう。

そして、思い出してほしい。最初から金を取ろうとするその姿勢が、どれだけ信用を削っているかを。

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